技術士取得について(農業部門)


技術士第二次試験受験について

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<2014.1追記>
技術士試験が少し変わりましたね。
私が合格したのは2012年なので現在の試験とは少々違います。
試験では受験申込書がさらに重要になりましたね。
受験申込書をしっかり添削してもらってくださいね。

ここから下は私が合格した2012年に書いたものです。
参考にしてください。
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これは資格を取得した者の務めの一つでしょう。
技術士第二次試験についてのヒントを少しだけ書いておきましょう。。。
あくまでも、農業部門(農業土木)の事に関してですけど。

もちろん、これが正解!という方法ではありませんので、苦情は受け付けませんよ(笑)
文章の内容や資質を評価してもらう資格試験ですから、考え方、纏め方は色々。
参考までに・・・。

部門に関わらず大変な試験です。
4月末に願書を出して、最後の結果が出るのが3月上旬。願書出すところから数えてもほぼ1年。
準備は10月頃には始めたほうが良いですから、最初に書き始めてから合格発表まで最低でも1年半もかかりますね。
落ちてしまえばまたさらに1年追加・・・。
合格するぞという気持ちがなければ合格しません。
仕事の合間の勉強になると思いますが、出来るだけ時間を作って最後まで諦めない気持ちが大事です。
頑張ってくださいませ!

  技術士とは・・・ (書く必要はないでしょうけど・・・)   
技術士とはエンジニアの国家資格としては最高峰の資格です。
このページを見て頂けてるのであれば、この辺りは細かく書かなくても良いですよね。
プロのエンジニアであればやっぱり最高レベルの資格を目指さなきゃね!!!!
詳細は公益社団法人日本技術士会のページと技術士法を参照してください。

技術士とは公益を最優先するプロフェッショナルエンジニアです。
<技術士法 第二条より>
・「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律においてその業務を行うことが制限されている業務を除く。)を行う者をいう。
<技術士倫理綱領より>
1.技術士は、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮する
2.技術士は、地球環境の保全等、将来世代にわたる社会の持続可能性の確保に努める

「技術士法」では以下に示す「技術士の義務と責務」が定められています。
< 3つの義務 >
・信用失墜行為の禁止(第44条)
・秘密保持義務(第45条)
・技術士の名称表示の場合の義務(第46条)
< 2つの責務 >
・公益確保の責務(第45条の2)
・資質向上の責務(第47条の2)

公衆の利益(公益)を最優先とすることを責務としている資格であり、業務独占資格ではなく、名称独占資格です。
登録されていない人が技術士を名乗ることはできません。
私が現在生業としている「建設コンサルタント」では実質のところ業務独占状態ではありますが・・・。

技術士には21の技術部門があります。
私はそのうちの一つの限られた部門を専門とする企業内技術士です。
私は農業部門で取得しました。専門は農業土木です。
< 農業土木の該当技術領域 >
・かんがい排水
・ 農地整備、農用地開発、干拓
・農地保全・防災
・農道整備、農村整備
・農業集落排水施設整備
・水管理、水利施設の管理保全
・施行計画・積算その他の農業土木に関する事項



  技術士取得を目指している方に勘違いしないで欲しいこと   
このページを見て頂けたという事は貴方も受験スタートですか?
エンジニアとして誇りを持って仕事をしている方には不要な言葉だと思いますが・・・
ひとつだけ勘違いしないで欲しいことがあります。
技術士取得というのは、ゴールではありません
通過点、いや、あくまでもスタートラインだと私は思います。
(私もやっとスタートラインに立てました)
昔々は名誉資格的な雰囲気があったそうですが、今は違うはずです。
何のために技術士を取得するのか、技術士を取得したらどうしたいのか。
取得後の自分の姿を頭の中に描いておく必要があると感じます。
私は合格発表後に嬉しさだけではなく、別の思いが強かったのはこのせいです。
もっともっともーーーっと精進せねばと思います。

  さてさて・・・受験スタートですか?   
まずは指導してくれる先生を見つけましょう!これが一番大事かも。。。
身近な会社の上司や同業他社の方でも良いでしょうし、
各部会や各県の技術士会で指導してくれる先生を探す事も出来るようですし、
かの有名なSUKIYAKI塾で指導して頂くことも出来るでしょう。

ちなみに、私は会社の上司ってのは選択しませんでした・・・。なんかやりにくいっす。
会社の教育プログラムとして外部の先生に指導してもらいました。感謝です。
自分の財布からは1銭も出さずに済んだというのはとてもありがたいことです。
ただ、「会社の出費」=「社員全員の給与減」だと思います。
仲間に迷惑をかけまいと頑張りました。
2年間も指導して頂いたのですが、2年目は禁酒を公言して自分を追い込みました。
1年で合格できなかったのは気合の問題かなとも思います。
努力したつもりでしたが気持ちが足りなかったんだろうなと。

さてさて・・・、受験志望から合格までは年単位の「The Long And Winding Road」です。
家族や会社の同僚に迷惑をかけるかもしれませんね。
ただ、長々と何年も受験し続ければ合格するという資格ではありません。
出来るだけ短期間で合格したいですよね?
合格するんだという強い意思と勉強する時間を作り他を多少犠牲にする覚悟が必要です。
肝を据えて頑張りましょうね。



  試験対策? 
さてさて、ここからがこのページを見て頂けた方々が知りたいところでしょうか。
同僚の合格率が下がっちゃうかな?いやいや、そんなことは無いでしょう(笑)
どこにでも書かれていることでしょうが、もし参考になるならどうぞ。

  0. 受験申込書   
そう、受験申込書です。
これは農業部門だけに限られた事ではなく全部門共通でしょう。
わざと項目の番号を「0」にしましたが、技術士第二次試験はこれがかなり重要。
自分の経歴をどれだけ端的に纏められているか、
技術士として相応しい経歴かというのを判断されるのが受験申込書です。
添削して頂ける先生がいらっしゃるなら何度も添削してもらうことをお勧めします。
ちなみに、私は申込書の業務経歴だけで3回くらい添削してもらいました・・・。
ここを勘違いしていると口頭試験で辛いことになるようですよ・・・。
< 受験申込書記入のポイント >
(1)業務経歴は出来れば10行全部埋める(経験年数が少なめの方は特に)。
(2)地位、職名は入社してから現在まで指導できる立場になってきている感じがわかるように。
(3)職務内容は具体的に字数の限界までギッシリ埋める。ただし以下に注意すること。
・口頭試験の冒頭に経歴を説明しなければならないことを念頭に置くように。
・技術士にふさわしい高度な業務内容をこなしてきているかが解るように。
・業務名は入れた方が良い。技術体験論文で書く予定の業務名は必ず書くこと。
・管理技術者とか、学会発表、社内講師、委員会に従事とか、なんらかあれば入れる。
・提出前に在職期間がおかしなことになってないか確認する事。
・もちろん嘘は書いたらダメです。多分面接の時にボロが出てバレますよ・・・。
指導してくれる先生によってはポイントが違うと思いますが、とにかく添削してもらう事が重要かと思います。
上記のポイントは一つの考え方だと思ってください。

  1. 必須   
農業部門の場合は、結構お題は絞りやすいと思います。
だって・・・食料自給率が目標に達していないんですよ。
食料自給率についての問題が出ないはずがない!(たぶん・・・)
さぁ〜 あとはどうやって纏めるかですね。
基本法、基本計画、白書などなどを読み、自分の意見を形成して纏めてみましょう。
もちろん簡単ではないですよ。
白書等の文章をそのまま書いたってダメですから。
現状、問題点、解決策や将来展望等を端的にまとめなければなりません。
書き始めたら3頁なんかじゃ足りなくなるはず。
まずは5〜6頁分書いて、そこから削ってゆきましょう。
< 必須のポイント? >
(1)農林水産省の基本政策を把握しましょう。全てはここから始まります。
基本政策
(2)「食料・農業・農村基本法」が他の基本計画や白書のベースです。
ただ、読む順序は、白書→基本計画→基本法の方が頭に入りやすいかも・・・。
食料・農業・農村基本法関連情報
(3)基本計画。基本的に5年ごとに更新されてます。
食料・農業・農村基本計画
(4)白書。これは毎年更新されます。これは何度も読みました。
必須の問題はこの白書から図表が引用されて出題されることが多いので、
どれが引用されるかな?っと考えながら読むと良いかもしれません。
白書情報
(5)さぁ~書いてみましょうか!!!全体のストーリーを考えながら纏めてください。
書くお題によって変わってくるとは思いますが、現状と問題点はたくさん書けちゃいますよね?
例えば食料自給率についての問題を仮定するなら・・・
・どういった政策を展開?
・食料自給率が目標に達しない。その原因は?
・世界の食料需給は?
・・・とか。
全部で3頁しか書けませんから、上手に纏めなければ合格レベルには達しません。
最終的にはここまでで1枚分くらいのイメージでしょうか?
最初は3頁くらいで書いてみると良いと思います。
さて、ここから先を残り2枚分でどう展開するか。書き方は色々あると思いますよ。
例えば・・・
・現状と問題点からどういった対策が必要?(例えば供給面での対策、消費面での対策)
・将来展望は?
・・・ とか。
こればっかりは自分で考えなきゃね・・・貴方の論文です。頑張ってください。。。
上にリンクを張った農林水産省のページ以外にもweb上に沢山ヒントはあると思います。
合格レベルに達するには色々なキーワードが入っていることが必要だと思います。
3枚に纏めるってのはホント大変ですよ。
(6)グレードの高い文を目指せ!
筆記試験ではやはり必須が重要なポイントではないでしょうか。
試験制度が変わってから、筆記試験ではグレードが高い論文が書けてないといけないという話を聞きました。
確かに、筆記試験で高得点が取れている人と、ギリギリの人では口頭試験での対応は違ってくると思います。
口頭試験でふるいにかけられてしまう可能性が無いように、何度も何度も推敲を重ねましょう。
ちなみに、私は9回添削してもらいました。。。
もちろん添削の回数で合格するかどうかが決まるわけではありませんが、気持ちの問題?
仕上げに入ってからの数回はほんの少しの手直しでしたけどね。
読みやすいか?ここはこういう表現にした方が?とか。
何度も読み返してブラッシュアップしていると、自然に筋書きと内容が頭に入ります。
そして自分の意見が形成されてゆきます。
ただ文章を覚えるのではなく自分の論文にすること。大事なことです。
(7)試験会場で!
準備していた論文が全て使えるということは滅多に無いと思います。
試験問題の図表を読み解き、準備していた論文をカスタマイズして3枚でしっかり収まるようにしなければなりません。
そのためには事前のブラッシュアップが重要ですよね。

  2. 選択1    
農業土木の場合は今は書きやすい(問題を想定しやすい)かなぁ〜?と私は思います。
ストックマネジメントが比較的ホットな話題ですからね・・・。
あと数年はこの問題が選択肢の一つに出てくるんじゃないでしょうか。
でも、傾向も少しずつ変わってゆくと思うので、色々情報を得ておくことが大事ですね。
必須と同じで、現状、問題点、将来展望等を端的にまとめましょう。
業務で携わっていれば書けるんじゃないでしょうか????
もちろん、自分の考えを書かなきゃいけませんからマニュアルをそのまま書いてもダメですよ。
< 選択1のポイント? >
(1)農業土木の場合は「農業土木技術の視点からあなたの意見を述べよ」という問題が多そうです。
どの問題を選択するとしても、「あなたの意見」を書かねばなりません。
(2)書く枚数は3枚?2枚?
以前は2枚でしたが、選択1が3枚という流れになってますね。
選択1と選択2合わせて6枚だったはずですから、ひょっとしたら選択1が4枚なんてことも???
枚数が変わった時のことも考えておかないといけませんね。
(3)基本的な書き方は必須と同じような書き方になるのではないかと思います。
・現状
・問題点
・対策
・将来展望
そんな書き方が書きやすいのではないでしょうか?
業務で関わっていることに繋がっているはずですから書けますよね?
土木系の方なら「施設の長寿命化」は結構書きやすいと思います(今後出題されるかどうかはわかりませんけど)。
まだまだ発展途上ですし、経験則的な部分も多く「ここをこうすれば・・・」っと思うところがありますよね?
もちろん纏め方は貴方次第です。。。
(4)グレードの高い文を目指せ!
選択1も必須と同じ。
何度も何度もブラッシュアップ!コレに限ります。
比較的書きやすい内容とはいえ私は7回添削してもらいました・・・。
想定した問題と違う問いでも書けるように準備しておくことが重要です。

  3. 選択2    
意外と躓きやすい所かもしれません。
最低3工種くらいは何でも書けるぞという状態にしておくことが望ましいでしょう。
農道、圃場整備、かんがい、開水路、パイプライン・・・得意とする分野以外を特に。
基準書、技術書から色々と抜粋して纏めておけば良いのです。
ここは自分の考えというよりは、基本的なマニュアル的な事を頭に入れて書くことになるでしょう。
業務で携わっていれば大丈夫!なんらか書けますよ!
でも、準備しておかないと試験会場でなんとかなると思っていると痛い目に遭いますよ・・・。
ナメてかかってはダメです。
< 選択2のポイント? >
(1)10問のうちAグループから1問、Bグループから1問選び、2つの設問を選んで答える形式。
(2)「基本的考え方(又は検討事項)を述べて技術的留意点を述べよ」という問題が多い。
設計基準や技術書類を読み、必要な事項を抜粋して纏めておかねばなりません。
(3)書くのは2枚?1枚?
選択1が3枚になってからは、Aグループが2枚、Bグループが1枚となってますね。
一つのお題に対して基本的には2枚書けるように準備しておかないとダメでしょうね。
(4)どんだけ準備するの?
ん~これは非常に悩ましいです。沢山沢山。
稀に「専門とする事項以外から選択しなさい」という問題が出ることもあるらしいですから。
私の場合は、専門とする事項は「かんがい排水」なので、優先して準備したのは、「農道」、「圃場整備」。
で、どんな問題が出るかわかりませんから、農道では6ケース、圃場整備では3ケースを想定して纏めておきました。
まぁ、想定していた問題がピタリと当たるということは無いと思います。
どんな問題が出題されても答えられるように、経験が少ない(又は不得意)と感じるところを重点的に勉強することをお勧めします。
これがまた結構時間がかかるんですよね~・・・。

  4. 技術的体験論文    
これがまたかなりヘビーです。2枚で纏めろなんて・・・。
10枚でも20枚でも良いなら幾らでも書けちゃうでしょうが、A4で2枚しか書けないんですよ!
しかも、2つの業務の要点を書いて、そのうちの1つを詳述しろって。
かなり考えなければ2枚になんて収まりません。
技術士として相応しいかどうかを判断してもらわなきゃいけないのです。
業務報告書とはわけが違います。
それと口頭試験での質問も念頭に置きながら書かないといけません。
下手なこと書くと口頭試験で大変なことになりますよ。
わざとココを突っ込んで欲しいという高度なテクで書く方法もアリかもしれませんが。。。
< 技術的体験論文のポイント? >
(1)業務を2つ概要を書いてそのうちの一つを詳述する(ことが多い?)。
詳述しない方の業務概要はかなりコンパクトにまとめないといけませんね。
あっ、2つとも具体的な業務名は書かなきゃいけませんよ。
この業務名だけでも2行使っちゃうんですよね・・・。文字数はホント苦労しました。
(2)内容は技術士に相応しい?
技術士法第二条に書かれている「技術士の定義」を念頭において書いてください。
ポイントは「高等の専門的応用能力」ですよね。自分で考えてどういった技術的検討を行ったか。
定型業務をこなしている方でも、なんらか工夫したことがあるのではないでしょうか?
もちろん、技術士を取得する前の業務経験ですから、あまり難しく考えすぎない方が良いでしょうね。
業務経験が豊富であればなんらかが見つかるハズです。
指導して頂ける先生と相談すればなんらか見えると思いますよ。たぶん。
私の場合は、結構業務に恵まれてたなぁ~と思います・・・。担当させてくれた上司に感謝です。
(3)口頭試験対策?
口頭試験では技術的体験論文の内容を聞かれることが多いと思います。
詳述してない業務の方の説明を多く求められた方もいるようです。
自分で考えた事をわかりやすく説明した文章にしておかないといけませんね。
あやしげなところはガンガン突っ込まれちゃいますよ。

  5. 口頭試験    
さてさて・・・最後の難関です。
何を質問されるのかは試験官次第。たくさん準備しないといけませんねぇ。。。
予想される問いを沢山作って準備しておきましょう。
模擬面接とかしてもらえるなら、してもらった方が良いと思いますよ。
私は模擬面接はしてもらいませんでしたけど・・・。
それと、経歴と技術的体験論文の内容は10分以内に説明できるように。
ひょっとしたら5分とか、試験官によって変わるかもしれませんけど。
何も見ずに時間内に説明するのって結構練習が必要ですよね。
私は、口頭試験の前日にホテルでこの練習ばかりしてました。
程良い緊張感で部屋に入れるように準備さえしておけばきっと大丈夫ですよ!




  私の技術士受験体験記     
口頭試験の合格発表前に書いた体験記です。
若造が偉そうなこと書いてますが、結果として合格したんですから許してくださいね・・・。
↓のブログ記事を参照してください。
http://u1stoneriver-blog.blogspot.jp/#!/2011/12/blog-post_4180.html

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今後受験される方々のためにと書いてみました。
技術士が増えることを願ってます。

(2012/4/7加筆)
(2012/4/14加筆)




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